2009年9月30日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第21回 3時10分、決断のとき

第21回「3時10分、決断のとき」

 借金に苦しむ牧場主(ダン)が、報酬目当てに強盗団のボス(ウェイド)を刑務所行きの列車に乗せるまで護送する。ストーリーは単純だが、役者の濃さで最後までダレる事無く見せられる。

 クリスチャン・ベイル演じるダンと、ラッセル・クロウ演じるウェイド。そしてボスを奪還すべく一行を追う強盗団のチャーリー。三人のキャラクターそれぞれが魅力的で、ウェイドを巡る三角関係のようにも見えて面白い。極端な話、やおい的な見方をする事も可能だ。優等生のダンと札付きのヤンキー、ウェイド。反目し合いながらも、徐々に心が通じ合っていく二人。そんな事とは露知らず、不良グループのリーダーであるウェイドを一途に想い、追い続けるチャーリー。そういう目線で見るとそういう風にしか見えない。
 護送団一行は駅のある町に到着し、列車の時間までホテルに身を隠す。部屋ではダンとウェイドが二人っきり。なぜかハネムーン用のスイートルームだ。狙ってるとしか思えない。追っ手を警戒しながら窓辺に腰掛けるダン。そんな彼の姿を、なぜか愛しげにスケッチするウェイド。やはり狙ってるとしか思えない。そこへチャーリー登場。町のならず者達に「ウェイドを護送してる奴を殺した者に大金をやる」と宣言する。後から思えば、ウェイドを奪還するやり方が誠実じゃないから、ここでチャーリーの振られフラグが立ってしまっている気がする。追い込まれた護送団は護送を諦め逃げ出す。しかしダンは残り、ウェイドに向かって自分の惨めな人生を語り出す。そして「金の為じゃない。自らの誇りの為にお前を駅まで連れて行く!」とウェイドへの執着を告白する。ウェイドはそんな彼の気持ちに応え、チャーリーを捨てダンを選ぶのだった。
 …と、そんな感じでツンがデレになる熱い展開に繋がるんだけど、人に対する想いや関係性の変化をドラマにすると、「男の世界」でもラブストーリーっぽく解釈出来てしまうものなのだなと、しみじみ考えてしまった。荒野を舞台にした汗臭いウェスタン映画ですが、主演の二人の演技、個性、関係性には惹きつけられると思うので、女性の方にもお勧めです。

監督●ジェームズ・マンゴールド 脚本●ハルステッド・ウェルズ、マイケル・ブランド、デレク・ハース
出演●ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベイル、ピーター・フォンダ、グレッチェン・モル、ベン・フォスター
上映時間●2時間2分 配給●シナジー

【イントロダクション】
生活苦によって家族と絆が冷めようとしている小さな牧場主ダンは、逮捕された強盗団
のボス、ウェイドを刑務所のあるユマ行き3時10分発の列車に乗せる護送の仕事を引き受けた。だが目的地に着いた彼らは、ボスを奪還しようとする強盗団の手下たちに取り囲まれ、絶体絶命の危機に陥ってしまう。ダンはこの仕事を引き受けた本当の理由をウェイドに語り始める。それは男の誇りと生き方をかけた大きな決断だった…。

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