2016年3月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第97回 グリーン・インフェルノ

第97回「グリーン・インフェルノ」

リア充大学生が未開の地で悲惨な目に遭う、残酷描写満載のスプラッタームービー。鬼才イーライ・ロス監督が食人族モノを撮るという、好きな人には堪らない組み合わせだ。
ジャングルに暮らす部族を開発工事から救おうと活動する学生グループが、その守ろうとした原住民たちに捕われ喰われていくという、情け容赦ないストーリー。学生たちはいわゆる意識高い系と呼ばれるような、いけ好かないタイプだ。近年流行っている「SNSで世界を変えよう」的な行動は実際は大した力を持たず、彼らの自己満足にしかなっていない場合が多いらしい。この映画は、中心的プロットでそういう風潮を皮肉っている。

学生リーダーであるアレハンドロというキャラクターが素晴らしかった。カリスマ性があり、主人公ジャスティンも彼に惹かれグループに参加するのだけど、とんだゲス野郎だったことが徐々に露わになっていく。檻の中で、気持ちを落ち着かせるために堂々と自慰行為を始めるシーンがあって(女子学生もいるのに!)、メンバーから「サイコ野郎!」と殴られそうになるも、相手の目を見つつ行為をやめないとか、声を出して笑ってしまった。
基本的にギャグ要素多めだ。うんこネタとかマリファナネタとかしつこい吹き矢ネタとか。自分は詳しくないが、過去の食人映画へのオマージュもたくさんあるらしい。
食人シーンはもちろんショッキングなのだけど、丁寧にクッキングしていくので、段々田舎で振る舞われる素朴な料理のようにちょっと美味しそうに見えてくる。子どもたちも、剥いだタトゥー付きの皮で無邪気に遊んでいて、人肉でなければ微笑ましいウルルン滞在記的な場面にも見える。もちろんそれらも、意図的なブラックジョークだ。
監督の代表作『ホステル』のようなトラウマ級の凄惨さを求めると、ちょっと肩透かしを食らうかもしれない。エンドロールで、主要キャストの横にツイッターIDが併記されているのが、今風で新鮮だった。

hitokoma94

●監督:イーライ・ロス ●出演:ロレンツァ・イッツォジャスティン/アリエル・レビ/ダリル・サバラ/カービー・ブリス・ブラントン/スカイ・フェレイラ他 ●上映時間:101分 ●配給:ポニーキャニオン 

【イントロダクション】
森林伐採の不正を暴くため環境活動家の学生たちは、絶滅の危機に瀕しているヤハ族を救おうと現地へと乗り込む。しかし、彼らの乗った飛行機はエンジントラブルが起こりジャングルに墜落してしまう。生き残った学生たちは助けを求めるのだが、そこにいたヤハ族とは、人間を食べる習慣をもつ食人族だった――。捕らわれた彼らは次々と餌食になっていく。(R18+)

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