2009年8月27日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第18回イエスマン “YES”は人生のパスワード

第18回「イエスマン “YES”は人生のパスワード」

 この映画のプレスリリースの表紙は、見ようによっては冒険している。両手を広げ天を仰ぎ、「人生って素晴らしい!!」と高らかに叫んでるかのような表情のジム・キャリー。背景はお花畑と青空、そして「YES」というでっかい文字。一目見て「自己啓発セミナーか新興宗教の冊子みたいだ…」と若干引いてしまった。実際内容も、自己啓発セミナーで行動的になった主人公が、人生を好転させていく話だったりする。もちろん怪しげな洗脳映画というわけではない。そういったセミナーを皮肉ったパロディ要素も含む、ドタバタコメディだ。

  冒頭の主人公は、友人の誘いをいつも面倒臭がって断り、部屋で一人DVDを観るのが唯一の楽しみである、いわゆる「NOマン」だ。個人的な話、「YESマン」に変わる前の、この異常に人付き合いの悪い主人公は自分によく似ている。僕も彼のように、引きこもりがちでひねくれた性格だ。そんな訳で気が付くと、「ようし、俺の人生観も変えてみろ!」という斜に構えたスタンスで、作品を観ていた。
 全ての誘いに「YES」と答えて、何でもやってみる事にした主人公は、生活が一変する。なんだかんだで急にかわいい彼女が出来たり、仕事でもとんとん拍子に大出世したり、我が世の春だ。こういう展開はご都合主義ではあるものの、やはり痛快だったりもする。「そんなに上手く行く訳ねえだろ!」と思いながらも楽しんでしまう。子供の頃送られてきた、進研ゼミのDMに付いていた漫画を思い出した。「進研ゼミを始めたら部活と勉強を両立できて、気になるあの子とも上手く行っちゃった」という例の奴だ。僕はあの漫画が好きで、捨てずに全部取っていた。 と言うか、親に頼んで実際やってもいた。さっぱり続かなかったけど。
 物語は、諸々あってDM漫画のようにお約束のハッピーエンドを迎える。流石に自分の人生観が変わる程のインパクトは得られなかったけど、清々しい気分で映画館を出られる気持ちの良い作品だ。 
 帰り道、「あの時進研ゼミを続けられたら、人生変わっていたのだろうか…」とぼんやり考えさせられた。

監督●ペイトン・リード 脚本●J・マイケル・ストラジンスキー
出演●ジム・キャリー、ゾーイ・デシャネル、ブラッドリー・クーパー、リス・ダービー、ジョン・マイケル・ヒギンズ
上映時間●1時間44分 配給●ワーナー・ブラザーズ映画
【イントロダクション】
面倒な電話には出ず、友達の誘いも口実をつけては断り、勤め先の銀行ではローン申請のほとんどを却下する、仕事にもプライベートにも「NO」「イヤ」「パス」と答える後ろ向きの男、カール。とうとう親友の婚約パーティーまですっぽかし、友情さえも危うくしてしまった彼はあるセミナーに参加する。そこで「すべてにYESと答える」と約束させられたことから事態は一変。“YES”というたった一言が、人生を激変させていく。

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