2009年7月2日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第10回インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国

第10回「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」

 19年ぶりに復活したインディ・ジョーンズ。「あれから19年か…時代も変わったな」って思ったら、舞台がまだ冷戦時代だったので驚いた。前作観たのが子供の頃だったからか時代背景がよくわかってなかったらしい。
 そのお陰で、良くも悪くも「歳を取ってIT時代に置いてかれるインディ」みたいなアングルが成立せず、若々しさ溢れる活劇を堪能できた。「あの名作が○○年ぶりに帰ってきた」みたいな作品が最近多いけど、概ね昔のままだ。「もうあの頃とは違うんだ…」みたいな切ない「劇画オバQ」スタイルも、そろそろハリウッド大作で観てみたい。ファンが許さないだろうし需要もなさそうだけど。
 物語は、秘宝をめぐって悪い奴らから逃げながら大冒険する黄金パターン。展開、アクション全てに「古き良き」を付けたくなる。舞台が21世紀だったら赤面してたかもしれないけど、時は1957年。ノリノリで楽しめた。
 キャスティングは、ケイト・ブランシェット演じるソ連のクールビューティー工作員スパルコのキャラが立ちまくっていて、「悪役チームって他に誰かいたっけ?」と思うくらい釘付けにさせられた。他の出演キャラ全員食われてたかもしれない。髪型や制服も印象的で見た目からしてマンガチックだったので、両隣に「怪力担当の小男」と「メカに詳しい出っ歯」を配して、サドっ気を発揮しながらドクロストーン(クリスタルスカル)を追いかけて欲しい…とか、妄想させられた。実際そこまでする必要は無いけど、悪役チームが物足りなかったのは確かだ。それから役者ではなく脚本上の問題だけど、スパルコは共産主義を象徴する位置づけのキャラでもあるから、最後まで国家への忠誠心を行動の軸に置いて欲しかった。後半、そこがどうでも良くなっていて残念に思えた。
 全体を通して既視感たっぷりの作品ではあったものの、妙に印象に残ったシーンが二箇所あった。「軍隊蟻に襲われるシーン」と「核実験場のシーン」だ。軍隊蟻の場面では、昔「黒い絨毯」という殺人蟻の大群に襲われるパニックムービーがあったのを思い出させられ、核実験場ではマネキンの町に紛れ込んだ気味の悪さを心地よく感じさせられ、どちらのシーンでも「コレでもう一本映画作ってくれ!」と思わず言いたくなった。両方スピルバーグっぽいアイデアなんだが、そう思わせる力量はさすがだ。
 さっきスパルコにドロンジョを重ねてしまったのは、核実験の場面でキノコ雲を見たからだと今気付いた。

「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」
監督●スティーブン・スピルバーグ
出演●ハリソン・フォード、シャイア・ラブーフ、ケイト・ブランシェット、カレン・アレンほか
上映時間●2時間2分 配給●パラマウント ジャパン
【イントロダクション】
旧ソ連が台頭した1950年代の冷戦時代を背景に、超常現象的な古代の遺物を求めるインディ。彼が探し求める秘宝は、ヒーリングのパワーや宇宙の神秘を紐解く力を持つというクリスタル・スカル。そこに立ちはだかる冷酷非道なソ連軍のエージェント、スパルコ。インディは敵から逃れ、秘宝を手に入れることが出来るのか、そしてスカルに秘められた謎とは? 最大の冒険と戦いが始まる!

PAGE TOP