2015年3月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第85回 ジャージー・ボーイズ 

第85回「ジャージー・ボーイズ」

自分は音楽には無知なので、実在したPOPグループ「ザ・フォー・シーズンズ」を題材に、と聞いてもピンとこず、「まあでも一応イーストウッドだし」っていう態度で本作を選んだ。結果大当たりで、今年見た映画の中でもトップクラスの感動作だった。

主役のフランキーが最初に歌い出した時、「わっ、歌ウマ!」と素直に思った。本作は元々ミュージカル作品で、ブロードウェイで同役を演じていたオリジナルキャストだそうだ。ミュージカル映画という程曲数は多くないが、ここぞというタイミングで挟まれる歌のシーンが、とにかく素晴らしい。吹き替えでなくライブで聞かせる場面がほとんどで、聴衆のリアクションがそれはもうウットリとしている。説得力のある歌唱力なので、場面を観ながら同じ多幸感に包まれる。クリストファー・ウォーケンが裏社会の顔役で出ていて、彼の聴き入る演技も印象的だった。
「ザ・フォー・シーズンズ」は知らなかったけど、歌われるナンバーの耳馴染みのある名曲ばかりだ。彼等の人生の節々に、物語と結びつく形でそれらの曲は生まれ、歌われ、その度に気分が、「うぉおおお!」と高められる。実在する本人達を知らなかったおかげで、似てる似てないとか全く気にならず没頭できて、逆に良かったとすら思ってしまった。
メンバー4人の中で、主役以外ではトミーの存在感が圧倒的だ。タランティーノみたいな顔をした破天荒な男で、素行が悪く、借金を重ねた結果、グループは窮地に立たされる。「グッドフェローズ」でジョー・ペシはトミーという役を演じているが、もしかしたら同じ名前の彼がモデルになっていたのかもしれない。性格がそっくりだった。実際本作にも若き日のジョー・ペシが登場する。登場人物がカメラに向かってナレーションをしたり、映画自体「グッドフェローズ」を彷彿とさせる。
エンディングは、ミュージカルの大団円的サービスシーンになっていて、最後まで存分に楽しめた。

hitokoma82

●監督/製作:クリント・イーストウッド ●出演:ジョン・ロイド・ヤング 、ビンセント・ピアッツァ 、エリック・バーゲン、マイケル・ロメンダ、クリストファー・ウォーケン ほか
●上映時間:2時間14分 ●配給:ワーナー・ブラザース映画 

【イントロダクション】
ザ・ビートルズ以前に世界を席巻し、音楽界に不滅の伝説を打ち立てた4人組―― ザ・フォー・シーズンズ。
希望のない町に生まれた彼らには音楽と夢があった。ニュージャージー州の貧しい地区に生まれ、成功から一番遠い場所にいた4人の若者が、自分たちの音楽だけでつかみ取った夢のような栄光の軌跡。そして、そのまばゆいばかりの栄光ゆえに、次々に彼らを襲う、裏切りと挫折、別離、そして家族との軋轢……。

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