2015年2月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第84回 ガーディアンズオブ・ギャラクシー 

第84回「ガーディアンズオブ・ギャラクシー 」

子供に見せられない、歪んだヒーロー物「スーパー!」を撮った監督の新作は、宇宙を守る英雄の物語らしい。期待と不安を胸に試写へ向かうと、会場はディズニー映画の試写室。「なんだ、家族で楽しむヌルい映画ね」と斜に構えて見始める。結果、直球エンタメとしてのクオリティの高さと、映画そのものの熱にノックアウトされ、男泣きして帰ってきた。大満足だ。

主人公は、9歳で母親を亡くし、その直後に宇宙船にさらわれ、何だかんだでトレジャーハンターになった陽気な青年ピーター。その「何だかんだ」を短絡させた冒頭シーンが、とにかく素晴らしい。死別の場面から始まり、SFにはとても見えない深刻な現代劇が幕開けたと思ったら、突如UFOが現れる。世界観がガラリと変わり廃墟惑星に。防護スーツに身を包んだ怪しげな人物がそこに降り立つ。不穏な状況のまま、彼は手元の機械のスイッチを入れる。それは古いウォークマンで、先ほどの少年が成長し、母親の形見としてそれを持っているのだとわかる。荒涼とした異星で、流れるのはノリノリの70年代ポップス。歌い踊る男。「な、なんだこの映画は…?!」PVのような映像と、その不思議なミスマッチ感に完全に魅了された。
この映画は、「懐メロを楽しむ映画」だと言ってもいいくらい、様々な場面で古いヒット曲が流れ、観客を高揚させる。自分自身、リアルタイム世代ではないけど、知ってる曲ばかりだ。キャラクターたちも魅力的だ。緑色のツンデレ殺し屋ヒロインに、クールなアライグマ、謎の樹木人間に、復讐に燃える囚人。アウトローの敵同士が、銀河を守るべく団結する定番胸熱ストーリー。
基本的にはコメディで、会場ではかなりウケていた。シナリオも練られていて、冒頭の母親とのシーンが、終盤伏線として気持よく回収される。
スケール感あふれる映像にド派手なアクション。笑いと涙、興奮と感動。使い古された言い回しで、ストレートに絶賛したくなる、王道宇宙冒険譚だ。

84

●監督・脚本 ジェームズ・ガン●出演:クリス・プラット、ブラッドリー・クーパー、ヴィン・ディーゼル、ゾーイ・サルダナ ほか
●上映時間:121分 ●配給:ディズニー 

【イントロダクション】
幼くして地球から誘拐され、今や宇宙をまたにかけるトレジャーハンターとなったピーター・クイル。とことん運がないくせに、自らを“スター・ロード”と名乗る男。そんな彼がある日、巨万の富を夢見て、パワーストーン<オーブ>を盗み出す。だが、銀河を滅亡させるほどの恐ろしい力を持つオーブを狙う悪党たちから追われる羽目に。
それをきっかけに、危機また危機の冒険と、宇宙存亡を懸けた戦いに巻き込まれていく——。

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