2014年11月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第82回 オール・ユー・ニード・イズ・キル

第82回「オール・ユー・ニード・イズ・キル」

「日本のコンテンツを原作に、ハリウッドが映画化!」という触れ込みは、あまり信用していない。大抵ボロボロに改悪されて、ロクでもない結果になりがちだからだ。しかし今回は、確かな選球眼で作品を選ぶトム・クルーズが主演。「これは、どっちに転ぶのか!?」と、一報を聞いた時から、かなり気になっていた作品だ。

内容は、いわゆる「ループもの」のSF。同じ時間が何度も繰り返される話で、『恋はデジャブ』や『ミッション: 8ミニッツ』、日本ではゲームやアニメでお馴染みの設定だ。「ループものに外れなし」と言われるくらい人気のジャンルだったりする。主人公は、全くの戦場経験がないヘタレ米軍広報官。突然最前線に送り込まれ、即死するも、何故か時間が巻き戻る。以降、死にまくりながら戦場を攻略していき、みるみる歴戦の古強者になっていく。テレビゲームで、クリアの難しいゲームをよく、「死にゲー」「覚えゲー」と呼ぶが、それをリアルな戦場でやっているような映画だ。ちょっとミスったら、リセットボタン押すようにわざと死ぬという描写が続く。ゲーム経験者なら「あるある!」と共感すると思う。
序盤の、右も左も分からないまま、前線に投入されるくだりは、展開的にも映像的にも素晴らしく、そこから何度も戦場を繰り返し状況に慣れていく過程が、観る側も完全に同化出来て、気持ちが良い。モンスターのデザインや、ワサワサした動きも、新鮮で楽しめたし、スポ根的な特訓風景も良かった。
終盤は、ループ要素が関係なくなって、多少気持ちが萎えてしまい、「やはり、ループの魅力は凄いな…」と染み染み感じた。ラストは、考え過ぎかもしれないが、トムの前作『オブリビオン』のラストを反転させたようにも見えた。
原作とは諸々違うので、ファンは色々思う所あるかもしれませんが、「日本のコンテンツを原作に、ハリウッドが映画化!」ジャンルの作品では、かなりオススメの一作です。

hitokoma79

●監督・製作総指揮:ダグ・タイマン ●原作:桜坂洋「All You Need Is Kill」(集英社スーパーダッシュ文庫刊) ●出演:トム・クルーズ、エミリー・ブラント、ビル・パクストン、ノア・テイラー ほか ●上映時間:113分 ●配給:ワーナー・ブラザース映画

【イントロダクション】
謎の侵略者“ギタイ”の攻撃に、世界は滅亡寸前まで追い詰められていた。ウィリアム・ケイジ少佐は機動スーツで出撃するがすぐに命を落とす。しかし、死んだ瞬間、彼は出撃前日に戻っていた。無数に繰り返される同じ激戦の一日。ある日、ケイジは女性戦闘員リタに出逢う。繰り返される過酷なタイムループの中、リタによる戦闘訓練で次第に強くなってゆくケイジ。果たして彼は、世界を、そして、守るべき人を救う糸口を見つけることが出来るのか───。

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