2014年9月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第80回 トランセンデンス

第80回「トランセンデンス」

ノーランとジョニー・デップがタッグ!潤沢な予算を使ったSF超大作!…みたいな触れ込みだったので、家族で楽しめるエンタメ作品かと思いきや、内容はかなりターゲットを絞った、大人向けの地味なSFだった。資料見るまで気付かなかったけど、ノーランは監督じゃなく製作総指揮で、監督はノーランチームで撮影監督をしていた人。アカデミー賞撮影賞の受賞歴があり、今作が初監督だそうだ。

びっくりするくらい世界観にノーランっぽさが出ていた。それも「ダークナイト」ではなく、見てる時の感覚は「メメント」や「プレステージ」の方に近い。「ヘンテコな話だけど、センスの良さで知的かつオシャレに見える」という、ノーラン独特の謎マジックが、所々再現されているようだ。
科学的な設定はややこしいけど、ストーリーは単純。天才科学者の意識が、死後妻の手でコンピューターにアップロードされて、200万年の進化を一瞬で超越。ネットの力で地球上の全ての情報を手に入れ、超進化を始める…。粗筋だけ見ると荒唐無稽で漫画のようだ。こういった話は、SF界隈ではジャンル物として無数に描かれていて、最近は「近い将来現実に起こりえる」と、割と真剣に語られていたりもする。
スケールのでかい話でありながら、映像的にもドラマ的にも、終盤まで地味で静かだ。役者の演技も大仰になることは無い。派手な映画が好きな人は途中退屈するかもしれないが、バカバカしくなって急に冷めるってことが無く、自分はかなり楽しめた。サスペンス調で、不穏な空気がずーっと続いてるのも良い。「僕は好きだけど、こんなに予算かけて大丈夫!?」と、多少不安になった。
10分毎に爆発したり、極端なキャラが大暴れする映画に飽きてる人にはオススメ。というか、ジョニー・デップは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」とか「ローン・レンジャー」とか、そういうのに飽きて、コレに出たのかもしれない…とか思った。

hitokoma77

●監督:ウォーリー・フィスター ●出演:ジョニー・デップ、モーガン・フリーマン、レベッカ・ホール、ポール・ベタニー他 ●上映時間:119分 ●配給:ポニーキャニオン/松竹

【イントロダクション】
人類の未来のために意識を持つスーパーコンピューターを開発研究する科学者ウィルは反テクノロジーの過激派組織の銃弾に倒れてしまう。死の際で妻のエブリンは彼の頭脳をスーパーコンピューターへアップロードする。ee死すべき運命だった科学者、だがその意識はコンピューターの中で生かされたeeそれは、人類200万年分の進化を一瞬で超越し、ネットワークの力により軍事機密、金融、政治から個人情報まで、地球上のすべての知識を手に入れ、全人類の知能をあわせてもかなわない、想像できない進化をし始めた……。

PAGE TOP