2009年5月5日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第2回 ボーン・アルティメイタム

第2回「ボーン・アルティメイタム」 

 ボーンシリーズ三部作の完結編。二作目が未見である事に試写会当日に気付く。「まあ、アクション物だしパンフに目を通しておけば何となくわかるだろ」と思って観たら、見事に引っかかる所無く楽しめた。
 この映画に複雑なストーリー展開は無い。ボーンが目の前の状況を無駄の無い動きで冷静に黙々と打開していく、その華麗さにひたすら酔いしれる作品だ。アクション映画でありながら、身体性よりも迷い無くサクサクと最適な判断を下していく知性や、全く揺るがない堅牢な精神性の方に魅せられる。アクションの連続と言うより判断の連続。例えるなら、ルービックキューブを猛スピードで完成させるとか、テトリスのスーパープレイとか、そういう行為を見てる時に感じる理系的エクスタシーが、激しいアクションの合間合間に詰まっている。正に男の映画だ。
 各シーンは、基本「ボーンと工作員が戦う現場」と「敵の基地であるCIAの司令室」の二場面を中心に展開していく。ボーンは現場で工作員と格闘しながら、同時に司令室との頭脳戦も繰り広げる。司令室と現場のドタバタが映画のメインとなってる訳だが、この構図に妙な既視感を覚えた。
 ……そう言えば、テレビのバラエティ番組でよく見る。司令室側と現場側、一番分かりやすい例で言えば「ロンハー」における淳とドッキリのターゲットとか。「めちゃイケ」でも矢部が司令室側で岡村が現場側という状況をよく見る。もちろんバラエティ番組の方がスパイ物のパロディとしてやっているのだろうけど、僕が極度のテレビっ子であるせいか、映画のそういったシーンがバラエティの延長のようにも見えてしまう。
 CIAの局長「ボーンさん、何してはるんですか?(矢部っぽく)」…みたいな。その目線で見てたら、攻防が余りにハイレベル過ぎて「やり過ぎ! やり過ぎ!」と思わず吹き出しそうになった。多分、間違った見方だ。

「ボーン・アルティメイタム」
監督●ポール・グリーングラス
出演●マット・デイモン、ジュリア・スタイルズ、ジョアン・アレン、デヴィッド・ストラザーン・ほか
上映時間●1時間55分
【イントロダクション】
記憶喪失の男、ジェイソン・ボーン。彼は、なぜ自分が執拗に追われ、命を狙われるのか理解できなかった。しかし彼には、次々と降りかかる絶体絶命の危機に、反射的に対処できる戦闘能力が備わっていた。やがて自分がCIAの元暗殺者だと知ったボーンは、過去を取り戻すため走り出す。心の通った人間としての自由と未来を掴み取るために…。

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