2014年7月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第78回 ロボコップ

第78回「ロボコップ」

「ロボコップ」は、子供の頃大好きだった映画だ。SFとして楽しみつつ、グロい描写と皮肉たっぷりのブラックジョークに、見てはいけない物を見てるような興奮を覚えた。傑作映画のリメイクは難しい。どうしても前作と比べてしまう。そんな訳で、期待しないで臨んだのだが、結果的には、アクション控えめではあるものの、ドラマに重点を置いたやや大人向け映画として満足いく作品…というか、予想よりかなり良かった。

物語はシンプルだ。殺されかけた正義の警官が、ロボコップになって悪を倒す。とにかくロボコップになるまでが長い。「そういう世界観だから」で誤魔化さず、ロボコップの出現に必然性を感じるような社会的背景が、丁寧に作りこまれている。テーマの一つになっているのが、無人兵器ビジネス。近い将来、攻撃の判断すら自動化された兵器も誕生し、殺戮のハードルが低下するとして現実の世界でも問題にされている。この映画は、そんな近未来へ警鐘を鳴らす。ロボコップの脳みそは生身だ。攻撃の判断は人間として行っている。しかしコンピュータで判断した結果を、一旦脳を経由させ、自分で判断を下してると錯覚させるという、悪質な細工が加えられていたりもする。物語が進むと、感情が奪われアイデンティティを失う。「自由意志とは?」といった哲学的な問題にも踏み込んだ、ある意味真面目な映画だ。
キャスティング的には、テレビで度々無人兵器の必要性についてスピーチするノヴァクを演じる、サミュエル・L・ジャクソンが圧倒的だ。悪のCEOとか他のキャラは、
割と普通で大人しく見えてしまった。
エグい場面もある。頭以外をほとんど失った姿を鏡で見せられる主人公。喉の下にぶら下がった人工肺が生々しく膨張と収縮を繰り返し、彼はドクターに殺してくれと頼む。
ロボコップはアイアンマンやスパイダーマンとは違って、「こうなりたい」と憧れないヒーローだ。その悲しさは、前作から引き継がれていた。

hitokoma75

●監督:ジョゼ・パジージャ ●出演:ジョエル・キナマン、ゲイリー・オールドマン、マイケル・キートン、サミュエル・L・ジャクソン他 ●上映時間:1時間57分 ●配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

【イントロダクション】
2028年、アメリカのデトロイト。愛する家族とともに暮らす警官アレックス・マーフィは、不可解な爆発事故により身体の大部分を失ってしまう。彼に残ったのは、脳、心臓、右手だけ。しかし、世界のロボット市場独占をもくろむ巨大企業オムニコープの最先端時術により、全身チタン合金のロボットを肉体と融合させた、驚異的な犯罪操作能力を持つ「ロボコップ」として蘇る。だが、その能力と引き換えに、人間としての記憶を消され、妻と息子すら認識できなくなってしまったのだった…。

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