2014年5月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第76回 エンダーのゲーム

第76回「エンダーのゲーム」

映画の話をする時に、よく「あー、それ原作の方が良いから、原作読んで!」みたいなことを言う人がいる。「映画の話してるんだから、そういうこと言うな! 原作読んでますアピールか?」と、皮肉めいたことをつい思ってしまうのだけど、実際自分が原作読んでいる立場になった場合、同じことを言いたくなったりする。

「エンダーのゲーム」原作は、30年近く前に書かれたSF小説だ。主人公は、人類を救う使命を預けられた一人の少年、エンダー。彼のシビアで孤独な戦い、幼い天才の苦悩と成長が、ヒリヒリと身に迫るタッチで描かれている。日本のアニメや漫画にも、大きく影響を与えていて、日本にもファンが多い。自分もその一人だ。
長い年月を超え映画化を実現した今作、率直な感想を言うとすればこうだ。
「これは、紛れも無く『エンダーのゲーム』だ」変に設定や脚本を改変することも無く、概ね忠実に映像化している。キャスティングも合っていて、特にエンダー役のエイサ・バターフィールド、グラッフ大佐役のハリソン・フォードはハマリ役で、原作のイメージそのままだ。訓練で使用されるバトルルームの無重力感、マインドゲーム内の不穏な世界観、バーチャルシミュレーターで指揮をとる時の切迫感、それぞれよく出来ていると思う。
ただ、紛れも無く『エンダーのゲーム』なのだけど、長い原作を読み込んでるせいか、少し物足りなく感じる部分もある。小説では、大人の理不尽さや、与えられた試練をエンダーがひとつずつクリアしていく過程が、細かく丹念に描かれている。映画では、時間の都合で全体的にあっさりと処理されてしまっている印象だ。「原作未読の観客、ちゃんと『エンダー~』の魅力、100%伝わってる?」と、勝手な心配をしてしまう。
よく出来た映画ではあるのだけども、映画をきっかけに原作小説にも手を伸ばして欲しい…。「ワガママで面倒臭い原作ファン」として、つい一言いいたくなる作品でもあった。

76

●監督:ギャビン・フッド ●上映時間:114分 ●配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
●出演:エイサ・バターフィールド、ハリソン・フォード、ベン・キングスレー他

【イントロダクション】
禁断の“サード(第3子)”として生まれたために孤独な少年時代を過ごしていたエンダー。彼はエンダー(終わらせる者)という名の通り、宇宙戦争を終わらせ地球を滅亡から救う使命を背負っていた。敵は圧倒的な軍事力を誇る昆虫型生命体フォーミック。その侵攻に備え、防衛軍のバトルスクールに送られたエンダーは、過酷な訓練によって戦士として頭角を現す一方、たとえ敵であろうと生命を奪う戦争は許されるのか苦悩する。開戦への焦燥感と重圧、孤独の中、最終戦争の時が迫る。そこには純粋な彼の心を破壊しかねない衝撃の結末が待ち受けていた。

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