2013年11月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第70回 ワールド・ウォー Z

第70回「ワールド・ウォー Z」

軍隊アリのようにワラワラと壁をよじ登る大量のゾンビ。予告を観た瞬間、「コレはすごい映画に違いない!」と確信し、気になってどんな映画かネットで調べてみた。完成まで色々トラブルがあり、アメリカでは大コケするかもと言われていた作品だったそうだが、本国で公開されたところ予想外の大ヒットで、続編も決定、評価も上々だとか。期待値が、上がったり下がったりしながら、フワフワした気持ちのまま試写会に臨んだ。

とにかく、スケールのでかいゾンビ映画で度肝を抜かれた。ゾンビものと言えば、限定的な舞台で目の前の状況を何とかする的な話が多い。しかし本作は、タイトル通りゾンビ世界大戦、国連職員のブラピが地球規模のゾンビ禍を食い止める為に、世界を股にかけて活躍する、アウトブレイク的なゾンビ映画だ。俯瞰で捉えられるゾンビ達は、大量発生した虫のよう。しかも全速力で津波のように押し寄せてきて、スピード感が半端ない。特にエルサレムのシーンは圧巻だ。そこを見るためだけに、もう一回劇場に行き、ソフト化したらブルーレイを即買したいと思えるくらい、鮮烈で印象深かった。
本作は家族で見られるように、残酷描写が削られている。引いたショットが多く、ゾンビとはわかりにくい。しかし、壁をよじ登ったり、ヘリに群がったり、得体のしれない動きをする大量の「人間っぽい何か」は、直接的なゴア描写より、ある意味恐怖だ。そこには多くのゾンビ映画がそうであるように、世の中への問題提起が含まれている。押し寄せる難民であったり、暴動であったり、世界中で起こっている分断された社会同士の衝突の、隠喩としてそれらは描かれている。
物語は、終盤になると唐突にスケールダウンする。製作中に紆余曲折あった結果なのかな…と、納得したものの、少し拍子抜けした。
因みに、この映画は2Dで観ることをおすすめします。試写で観た3D版は、絶望的に見辛かったです。


●監督:マーク・フォースター ●出演:ブラッド・ピット、ミレイユ・イーノスほか
●原作:マックス・ブルックス「ワールド・ウォー・ゼット」(文藝春秋刊)
●上映時間:116分 ●配給:東宝東和

【イントロダクション】
突如発生した謎のウイルス。瞬く間に世界へと広がり、各国の政府や軍隊は崩壊状態に陥り、人類は滅亡の危機に立たされた。元国連捜査官で伝染病の調査や紛争国での調停役を務めた経験を持つジェリーは、旧知の国連事務次官に呼び出され、ワクチン開発のため情報収集をする調査隊に同行するよう依頼される。ジェリーは家族を安全な場所にかくまってもらうことを条件に、謎のウイルスを解明するため混乱する世界へ旅立った──。

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