2013年10月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第69回 華麗なるギャツビー

第69回「華麗なるギャツビー」

「華麗なるギャツビー」と言えば、村上春樹も翻訳してたりする、アメリカ文学を代表する小説だ。そのうち読まなくてはと思っていたところ、今回ディカプリオで映画化と聞き、「映画だけ観とけば十分じゃないか!?」と思い、不純な動機で鑑賞に臨んだ。

好景気に沸く1920年代のニューヨークを舞台に語られる、謎の富豪ギャツビーの悲恋話。構成を大雑把に言うと、華やかでノリノリの前半と、悲劇的予感溢れる後半に分かれていて、前半部が特に素晴らしい。まず、ギャツビーがなかなか出てこない。大豪邸で、毎週末開かれるド派手なパーティー。噂ばかりで姿を現さない主催者。「何者なんだ?」という期待感と、宴そのものの盛り上がりが、同時に高まっていく。ゴージャスで、中身の無いパーティーと、軽薄なパーティーピープル達。バズ・ラーマン監督らしい豪華な映像と、凝ったカメラワーク。そして最高潮に達した所で、満を持して登場するディカプリオ。「僕がギャツビーだ」夜空に打ち上がる花火。ハマりすぎてニヤニヤが止まらなかった。
「僕の人生は上昇し続けるべきだ」ギャツビーは言う。目に余るバブリーさのせいか、可哀想な役が板についてるディカプリオだからか、出てきた瞬間から「華麗なるギャツビー」と言えば、村上春樹も翻訳してたり不幸な予感がプンプンする。ギャツビーは、元恋人デイジーを呼び戻すためにパーティーを続けているのだと言う。そのデイジー役のキャリー・マリガン。キュートで小悪魔的でもあり、この上なく魅力的だ。
後半は、デイジーと良い感じになるも、やがてギャツビーの生い立ちが明らかになり、上手くいっていた彼の人生が一気に狂い始める。全編142分もあって物語はシンプルなのに、役者と演出の力で長さを感じなかった。ただ、前半部は見事にマッチしていた過剰演出が、後半は作品を薄っぺらく見せてしまっているようにも思えた。
「ディカプリオがまた可哀想な目に!」って感じの、切ないラストが印象的。3Dだったので、次は2Dで観たい。


●監督:バズ・ラーマン ●出演:レオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア、キャリー・マリガン、ジョエル・エドガートンほか 
●上映時間:142分 ●配給:ワーナー・ブラザース映画

【イントロダクション】
欲望と退廃渦巻く、アメリカ狂騒の時代に毎夜人もうらやむ豪華絢爛なパーティーを繰り広げる、ひとりの男がいた──。彼の名は、ジェイ・ギャツビー。どこから来たのか? どうやって大富豪になったのか? 仕事は何をしているのか? いったい何のために、毎夜のように豪華絢爛なパーティーを開くのか? 誰一人その答えを知らない。ギャツビーがこの街にやって来た本当の目的は? 果たして、彼が人生のすべてをかけた〈秘密〉とは──?

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