2012年10月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第57回 アタック・ザ・ブロック

第57回「アタック・ザ・ブロック」

ロンドンの低所得者層向け団地を舞台に、不良少年とエイリアンがガチバトルする宇宙人侵略映画。鑑賞中真っ先に思い出したのは、高級マンションでエイリアンとセレブが戦う、設定が真逆の「スカイライン」だ。あちらは、昼間が舞台で、特にストーリーも無く、酷いオチだったけど、本作は最初から最後まで一夜の内に巻き起こり、グッとくる熱いラストで幕を閉じる。物語としてよく出来ていて、人に勧めるとしたら断然こちらの方だ。(個人的な好みでは「スカイライン」の方が好きだけど)

主人公は悪ガキグループのリーダー、モーゼス。仕事帰りのナースを狙って仲間と強盗を働いたり、突然降ってきたエイリアンをふざけ半分で殺したり、とにかくロクでもない。そのクセ、団地の住人には強盗しないとか、俺達が団地を守ってるとか、いかにも子供らしい自分勝手な正義を振りかざしている。どうしようもない奴らなんだけど、彼らのホームである団地内に侵入したエイリアン達に大暴れされたり、冒頭のナースも団地住まいだと知って謝罪する辺りから、彼らの正義は徐々に自分勝手なものでなくなっていく。やがて自分達の無力さを思い知り、その上で彼らは、仲間を守るため、本当の意味で団地を守るため、そしてエイリアンを呼び込んでしまった責任を取るために、日本刀や花火を武器に、勝ち目の薄い戦いを挑んでいく…。
ただのバトル映画ではなく、不良少年が団地という小さな世界で社会的責任に目覚める、という成長物語にもなっていて、熱い少年漫画を読むような興奮と感動が味わえた。ここ数年飽きる程続いてる宇宙人侵略映画。触手が!粘液が!みたいなエイリアンはいい加減にして欲しいので、毎回デザインがどう違うのか注目してる。本作は黒猫にインスパイアされたという真っ黒い毛むくじゃらの化け物で、新鮮だった。


●監督:ジョー・コーニッシュ
●出演:ジョン・ボヤーガ、ジョディ・ウィッテカー、ルーク・トレッダウェイ、ニック・フロストほか。
●上映時間:88分
●配給:アステア+パルコ

【イントロダクション】
ロンドンの貧しい公共団地に住む不良キッズたち、荒んだ毎日を送る彼らは毎晩のように仲間達と集まって騒いでは街の住民を困らせていた。ところがある夜、突然空から降ってきた無数の凶悪なエイリアンの襲撃をうける。大混乱になる街。これまで味わったことのないリアルな恐怖に襲われながらも街を救うために立ち上がる不良キッズ。武器は原付バイク、野球バット、花火…知恵と勇気を結集し決死の覚悟で最後の反撃に出るのだった。

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