2012年6月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第53回 ヤング≒アダルト

第53回「ヤング≒アダルト」

現代人の抱える問題と生き方を、シャープに描くジェイソン・ライトマン監督の最新作。彼の作品は、毎回主人公が今風で個性的だ。今回は三十路過ぎの女性作家、メイビス・ゲイリー。結婚も出来ず、仕事も低迷している。どうにもならない毎日を一変させるため、彼女は帰省して高校時代の元恋人とヨリを戻そうと決意する。

元彼バディは結婚して子供も生まれ、幸せな毎日を送っているのだけど、メイビスは「彼は退屈な人生から抜け出したいに違いない!」と思い込み、モーションをかけまくる。
メイビスの中身は、輝いていた高校時代のまま止まっている。家庭を持ち、落ち着いた同級生達とのギャップが痛々しい。彼女は、同級生でいじめられっ子だった冴えない男マットに出会う。現実と向き合えと諭されるものの、全く意に介さない。マットはマットで、酷いイジメにあった高校時代のトラウマから抜け出せないでいる。大人になりきれない二人は合わせ鏡のような存在だ。
基本はコメディであるものの、個人的に結構身につまされる内容だったりする。僕自身三十代半ばの冴えない独身漫画家だ。地元に帰ると周囲は家族を築いていて、自分は中学生辺りからほとんど中身が成長している気がしない。しかも青春時代はメイビスのように輝いてはなく、マットのようにくすんだ記憶しかない。二人のダメな部分をまとめると僕じゃないか、って気がしてくる。
メイビスはダメダメだけど、ダメであればある程、救われる道は一つしかないと思えてくる。「自分のダメさを小説に書けば良いのに!」後日談としてそれもあるだろうなとは思わせるものの、実際そういうベタなラストではなく、この映画はもっと図太い終わり方を見せる。
成長の仕方は、人間一人ひとりによって違う。自分の今後の生き方についてヒントを貰えそうな、いい作品でした。


●監督:ジェイソン・ライトマン
●出演:シャーリーズ・セロン、パットン・オズワルト、パトリック・ウィルソンほか。
●上映時間:94分
●配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン

【イントロダクション】
メイビス・ゲリー、自称作家、実はゴーストライター。執筆中のヤングアダルト(少女向け小説)シリーズは人気が落ちて終了間近、新作の予定もない。見栄っ張りの彼女には、“自分が思う現実”と“他人から見た事実”の間に落差があった。そんなメイビスが、妻子のいる元カレとヨリを戻すために帰郷し、大騒動を巻き起こす…。

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