2012年4月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第51回 タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 

第51回「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 」

原作は、世界中で愛されている漫画「タンタンの冒険旅行」。僕は、全くの未読なので比べられないけど、多分、原作を踏まえてなのか、この映画はキャラクターの葛藤や成長よりも、めくるめく冒険とスペクタクル映像を見せる事に専念して作られている。3Dであることを最大限生かした、楽しいアトラクションムービーだ。

タンタンは、キャラクターとして見ると非常に記号的。見た目だけでなく、人間としての背景がほとんど見えない所や、複雑な心の動きを感じさせない描かれ方、まるで昔のアクションゲームのプレイキャラだ。
そんなシンプルな主人公が、濃厚なCG世界を舞台に、縦横無尽の大立ち回りを繰り広げる。ゲームプレイ動画を観ているようではあるが、全然飽きない。圧倒的な映像によって、力ずくで作品世界に引き込まれる。
タンタンとは対照的に、ハドック船長はとても人間的で、血の通ったキャラクターだ。ドラマチックな宿命を背負い、苦悩や弱さを持っていて、彼がそれを克服し成長する所まで、この映画は描いている。
はっきり言ってしまうと、真の主人公はハドック船長だ。彼が登場して以降、物語は彼の物語に変わり、タンタンは映画の中心で大冒険していながら、どんどん空虚な存在になっていく。船長の物語を見守る観客と、同じ立場になるのだ。
それから犬のスノーウィも魅力的。臆病だけど、ピンチの時は勇敢に立ち向かう。頼もしかったり、頼もしくなかったり、そういう所が見ていてとても楽しい。
カーチェイス、飛行機の急降下シーン、剣劇シーン、重機によるバトル、すべてのアクションシーンが見所になっている。船上の場面も多く、多少3D酔いしてしまったけど、スクリーンから目を離す隙のない、とてもエネルギッシュな映像作品だった。


●監督:スティーヴン・スピルバーグ
●出演:ジェイミー・ベル、アンディ・サーキス、ダニエル・クレイグほか。
●上映時間:1時間47分
●配給:東宝東和

【イントロダクション】
世界中を冒険する少年記者タンタンは、海上で忽然と消えたという伝説のユニコーン号の模型を手に入れたその日から、謎の男に追いかけられる。謎を察知したタンタンは、マストの中に羊皮紙の巻物を発見。そこには、ユニコーン号の財宝のありかを示す暗号が隠されていた! 果たして、秘密の財宝の行方はーー? 相棒のフォックステリア犬スノーウィとハドック船長と共に、迫り来る危険と闘いながら、今、タンタンの冒険が始まる!

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