2011年11月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第46回 イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ

第46回「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ 」

本作は、ストリートアーティストのバンクシーを追ったドキュメンタリーではなく、「バンクシーを追った映像作家をバンクシーが逆に追ったドキュメンタリー」というややこしい構造をしている。
主人公は、ストリートアーティストを趣味で撮り続けているティエリーというオッサン。バンクシーは、合間合間にコメントする「世にも奇妙な物語」のタモリのようなポジションだ。

映画前半は、ティエリーが追うアーティスト達の活動記録。夜中、建物のヒサシによじ登って落書きする様子等を臨場感たっぷりに見せられる。コレはコレで面白いが、中盤バンクシーに出会ってからは、カメラはティエリー本人の愉快なキャラクターに徐々にフォーカスしていく。
ティエリーは、極端に活動的で、思い込みの激しい、ただの陽気な古着屋の主人。ある時バンクシーに「君もアーティストになってみたら?」と何気なく言われた所、「バンクシーに才能を認められた!」と勘違い。いきなり全財産投げうって大規模なアートショーを開くことに。
ロクに絵も描けない素人が突然大芸術家気取りになって、アンディー・ウォーホルや色んな有名どころをパクッたような、チープな作品を大量に作り「これは1万ドル」とか勝手な値段を付けていく。
この映画の見所は徐々に暴走していくティエリーだ。彼のインチキ臭い作風や、調子に乗っていく様がマンガチックで面白く、「コレは本当にノンフィクションなのか?!」と疑ってしまった。…で、アートショーがどうなったのかは劇場で確認していただきたいのですが、とにかく「アートって何なんだ!?」と叫びたくなるような衝撃的かつ笑撃的な結果が待っています。今年観た映画の中ではダントツに楽しめた作品でした。

●監督:バンクシー
●出演:ティエリー・グエッタ、スペース・インベーダー、シェパード・フェアリー、バンクシーほか。
●上映時間:87分
●配給:パルコ、アップリンク
【イントロダクション】
世界のグラフィティ・アーティストを撮影し続けた男(ティエリー・グエッタ)が誰も接触する事ができなかったバンクシーを偶然撮影できるようになったところから始まる。ティエリーの映画は完成するも、バンクシーの発した一言でバンクシー自身も想像しなかった事態に発展。全ては仕組まれたことなのか、偶然なのか、あるいはバンクシーの言うようにこれが100%リアルな事なのか!? ユーモア溢れるドキュメンタリーが始まる!!

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