2011年10月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第45回 スカイライン ― 征服 ―

第45回「スカイライン ― 征服 ― 」

ある日突然、異星人が侵略してきて、何が何だか分からないまま人類が征服されていく。個人的には大好きなタイプの作品だが、観る人を選ぶ映画でもある。「クローバーフィールド」あるいは「宇宙戦争」を思い出す。

主人公はヒーローでも何でもない、ただの平凡な一般人で、ドラマらしいドラマもなく、ひたすら逃げ惑う様子を一つの視点のみで、説明なく見せ続ける。物語を描くのではなく、あくまで特殊な状況を追体験させる映画だ。
本作は、過去に何度も見た事あるような、いわゆるジャンルムービーの一つではあるものの、ちょっとしたアイデアと最新の映像技術によって、全く新しい映画を観るような体験をさせてくれる。例えば、時間帯。先に挙げた「クローバーフィールド」や「宇宙戦争」は、ほとんど夜を舞台に撮られているのだが、本作は真昼間に異星人が襲ってくる。しかも呆れるほど天気が良い青空の下で。それが不思議と生々しい。
クライマックス辺りに、マンションの屋上で主人公が異星人に馬乗りになり、ボコボコに殴るシーンがある。あまりの天気の良さに、青春映画を観てるような爽やかな感動すら覚えた。この場面だけでも「観て良かった!」と思わされた。CGのマッチング技術も、文句無い。
特徴的なアイデアとして、もう一つ挙げられるのが、主人公達の動線だ。舞台である高級マンションの敷地内からほぼ出る事無く、部屋や屋上を行ったり来たりする。この閉塞感と、最上階の窓から一望できる開けた眺望とのコントラストが心地いい。壁一面のスクリーンを眺めるように、窓越しに世界の絶望を目撃する。その絵空事のような風景が、ガラスを突き破って、主人公達の現実として襲いかかってくる。シームレスに繋がる絶望が、映画の観客である我々に、他人事でないような恐怖を体感させる。
よくある映画なのに新しさも感じさせられて、この手の映画が好きな自分には、たまらない良作だった。ただ、最後のオチは納得がいかず、その点だけは少し残念だった。

●監督:グレッグ・ストラウス&コリン・ストラウス(ストラウス兄弟)
●出演:エリック・バルフォー、スコッティ・トンプソン、ブリタニー・ダニエル、デヴィッド・ザヤスほか。
●上映時間:94分
●配給:松竹
【イントロダクション】
ロスに住む親友を訪ねていたカップル、ジャロッドとエレインは、早朝、部屋のブラインドから差し込む青白い光と不気味な音で目を覚ました。そして、その光を見た友人の一人が、一瞬にして光の中に吸い込まれて姿を消すのを目撃。彼らの目前に迫る、見たことのない形の巨大飛行物体。空を埋めるほどの数の飛行物体が、地上から人間を吸い上げていたのだ! しかし、それは絶望的な3日間の始まりにすぎなかった…。

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