2011年5月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第40回カンフーサイボーグ

第40回「カンフーサイボーグ」

 B級映画丸出しのタイトルと、「コレが『トランスフォーマー』へのアジアからの返答だ!」というコピーを見て、「ああ、ヒット作に便乗したバッタモン映画か…」と、あまり期待せずに観始めたのだが、思いの外エネルギッシュな作品で、最後まで気持ちよく楽しめた。

 中国の片田舎にある警察署に、政府が極秘で開発したサイボーグ警官K1が赴任してくる。SFっぽい設定ではあるが、K1の能力の一つ一つに、まるで科学的根拠が無くて面白い。指を当てたら近視を治せるとか、スロー注射で相手の動きをノロくしたら落下速度までゆっくりになるとか、「このファイルの未解決事件を解決しろ!」「ハイ全部解決しました!」みたいなくだりがあったり、科学というものを万能な魔法として描いている。それをギャグにもしていて、SF感が「ドラえもん」みたいで懐かしい。この世界観を今、邦画でやっても意味が無いが、高度成長期の日本のように伸び代のある中国でやると、未来に無限の可能性を抱いてるように見え、妙に今日性を感じてしまう。
 ストーリーは、自己の意識に目覚め逃走したサイボーグK88を、K1と相棒の警察署長タイチョンが追う、所謂バディムービーもの。女性警官ムイとのロマンスも、古き良き少年漫画のように爽やかに描かれていて、退屈させない。見せ場は、CGを目一杯使ったアクションシーンなんだろうけど、個人的にはムイが魅力的過ぎて、ロマンス方面ばかりに興味を持っていかれた。CGの質としては、ハリウッドには遠く及ばないけど、基本的にコメディタッチで見せているので余りダサく感じない。「トランスフォーマー」やら日本のアニメやら、色んな物の影響がゴチャ混ぜになった独特のセンスが癖になる。ちなみに、K1の変な髪型は多分鉄腕アトムを意識している。そこに気付いてからは、シリアスシーンもニヤニヤしながら観てしまった。
 馬鹿馬鹿しい作品ではあるが、ラストは勢いでホロリとさせられた。憎めない、良いB級映画だ。

●監督・脚本:ジェフ・ラウ●出演:アレックス・フォン、フー・ジュン、ウー・ジン、エリック・ツァン●上映時間:103分 ●配給:竹書房
【イントロダクション】
2046年。中国・黒江省の小村の警察署長タイチョンは、政府により極秘開発されたサイボーグ警官のK1を預かる事となった。女性警官ムイはK1に胸をときめかせるが、ムイに想いを寄せるタイチョンはそれが面白くない。そんなある日、自我に目覚め逃走した新型サイボーグK88が彼らの前に現れる。サイボーグ2人の戦いに巻き込まれたタイチョンが死んでしまい、K1はその死を隠すために、彼をロボット化するが…!?

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