2020年6月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第147回 アナと雪の女王2

第147回「アナと雪の女王2」

鑑賞中、「歴史的傑作アナ雪の続編…」ということで自分の中で勝手にハードルを上げたり、「前作が良すぎるからな…」と逆に下げたり、ずっとフワフワしていた。感想をまとめると、「すばらしい映画…かもしれない」という、やはりフワフワした一言になってしまう。
全体を通して気になったのは、所々で難しい説明セリフが出てきたり、ダムがどうとか政治的要素が見え隠れしている部分。「幼児にわかるの?」とちょっと不安を感じた。後から調べたら、どうやらノルウェーの歴史や少数民族であるサーミ族の文化をちゃんと踏まえた上で、物語が作られているらしい。そういった背景やディテールは、作品に深みを与えているが、同時にとっつきにくさも与えていると思った。結果、フワフワした感想になったのかもしれない。

率直にすごいと思った箇所は、エルサがひとり、真っ暗な海に飛び込んでいくシーンだ。水の表現に凝ったド迫力の映像。彼女の向かう先にあるのは、自分が何者であるかという真実。まるで巨悪との闘いにおもむくような不穏さ、怖さを感じられてドキドキした。エルサが自分自身の謎に踏み込んでいくのは、氷の城に閉じこもる前作よりも、明らかに成長しているし、正しい。しかし個人的には、引きこもる場面を名曲で美しく描いた前作に感動していたので、「なんかちょっと大人になっちゃったな…」とほんのり寂しさを覚えた。
アナとオラフは相変わらずで魅力的だった。クリストフは、物語の進展にほとんど貢献しない道化に描かれていて、いっそ清々しい。彼が昔のダサいMVみたいにソロ曲を歌い上げる場面は一番笑ったし、やたら長尺なのも面白かった。彼が白人ヘテロ成人男性だから、扱いが悪いことがポリコレ的に皮肉のように見える。近年のディズニー・ピクサー映画は、進歩的であることが売りになってるところがある。「ここは攻めてるから良い、ここは保守的だから良くない」みたいな単純な感想を持たないように気を付けなければと、映画を観ながら考えてしまった。

●監督:クリス・バック、ジェニファー・リー ●脚本:ジェニファー・リー ●製作:ピーター・デル・ヴェッコ
声の出演:イディナ・メンゼル、クリステン・ベル、ジョシュ・ギャッド、ジョナサン・グロフ 他
●上映時間:103分 ●配給:ディズニー

【イントロダクション】
深い絆で結ばれたアナとエルサの姉妹は、王国を治めながら平穏で幸せな日々を送っていた。しかしある日、エルサだけが“不思議な歌声”を聴く。歌声に導かれ、仲間と共に旅に出たエルサは、自らの“力”の秘密を解き明かすため、数々の試練に立ち向かう。なぜ力はエルサだけに与えられたのか。旅の終わりに待ち受けるすべての答えとは――。

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