2020年2月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第144回 ジョン・ウィック:パラベラム

第144回「ジョン・ウィック:パラベラム」

『ジョン・ウィック』シリーズ最新作。前回からの続きになっているけど、ストーリーはあってないようなもので、次々とステージを変えて無双するゲーム動画のようなアクション映画だった。
わらわらと湧いてくる敵を返り討ちにしながらニューヨークをひた走る、冒頭約20分(体感)のシークエンスが最高だった。静かな公立図書館での本を武器にした格闘。本で殴ったり突いたり、分厚い本を口に噛ませ本ごと顔面に掌底を打ち込んだり、とどめは机に立てた本に首を乗せて本を支点に首をへし折るという、読書を愛する自分からすれば「本で何てことしてくれるんだ」と思いながらも、滅茶苦茶楽しんでしまった。その後の、ナイフを互いに延々と投げ合うシーンも過剰で笑ってしまったし、馬に敵を蹴らせ、そのまま乗馬してバイクとチェイスするくだりも見ごたえがある。ジョンがヘトヘトの状態から映画が始まり、途切れない敵の来襲にうんざりしながらも、満身創痍でガンガン殺していくのが不条理劇のようで良い。

冒頭の長い戦いが終わると、ステージを変えてまた新たな戦いが始まる。アクションシーンが続くからと言って短調ではなく、見せ方や戦い方に色々なアイデアがあって飽きさせない作りになっている。犬と一緒に戦うシーンは、これもまた長いのだけど別の動機付けもあって熱かった。
シリーズ最初の頃と違って、敵がジョンを見くびったりせずむしろ「あなたと戦えて光栄です」みたいな態度になっているのも面白い。今作の最強の刺客は、ゼロという謎の寿司職人だ。過去色んな映画で怪しい東洋人の怪しい日本語を聞いてきたが、彼の発音はトップクラスに酷い。そのせいで最強の殺し屋がコミカルなキャラに見えてしまったし、シリアスな表情が、たまに「あばれる君」に見えてしまった。
ストーリー重視の作品ではないけど、独特な世界観や設定が重要なので、過去作を予習した上で観ることをおすすめします。

●監督:チャド・スタエルスキ 
出演:キアヌ・リーブス/ハル・ベリー/イアン・マクシェーン/ローレンス・フィッシュバーン/アンジェリカ・ヒューストン
●上映時間:130分 ●配給:ポニーキャニオン

【イントロダクション】
裏社会の聖域:コンチネンタルホテルでの不殺の掟を破った伝説の殺し屋、ジョン・ウィック。彼を待っていたのは、裏社会の秩序を絶対とする組織の粛清だった。1,400万ドルの賞金首となった男に襲いくる、膨大な数の刺客たち。満身創痍となったジョンは、かつて“血の誓印”を交わした女、ソフィアに協力を求めモロッコへ飛ぶ。しかし最強の暗殺集団を従えた組織がジョンを追い詰める――。

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