2019年8月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第138回 バンブルビー

第138回「バンブルビー」

映画『トランスフォーマー』シリーズは大好きだし、基本全部劇場で観ている。にもかかわらず、ストーリーをほとんど覚えていない。観ている最中すでに物語への関心が薄く、次々と目の前で展開されるド派手な映像にひたすら興奮するという楽しみ方をしてきた。キャラクターもぼんやりとしか記憶していない。今作『バンブルビー』は、そんな僕のトランスフォーマー観を一変させる、キャラとストーリーを重視して作られた新しいトランスフォーマー映画だ。
主人公は父親を亡くした悲しみを抱え鬱屈した日々を送る17歳の少女チャーリー。自分の車を手に入れることができたら前に進むことができると考えている彼女は、誕生日に叔父から廃車寸前の黄色いビートルを譲り受ける。帰宅後自宅ガレージで点検中、突然ビートルが変形し…。

問題を抱えたティーンが非日常的な異物と出会い、通じ合い、諸々経験して、最終的に問題を乗り越え成長する。物語の基本的な構造は『E.T.』と同じだ。舞台も80年代で、映像も過去作と違ってコントラスト抑え目。彼女が出会うバンブルビーは記憶を喪失し、もちろん言葉もしゃべれない。パッと見怖そうな巨大ロボが、怯える小動物のようにE.T.化されている。トラヴィス・ナイト監督がアニメ出身だからか、バンブルビーの感情を表現する微妙さしぐさや表情がとても上手く、キャラクターに説得力を与えている。
過去のシリーズと比べてアクションシーンは控え目なのだけど、メカ同士のバトルがとても洗練されているように見えた。見栄えのする近接格闘術を駆使して、格ゲーでコンボを決めるような気持ちの良い映像になっている。カメラワークもカチャカチャしてなくて心地いい。
『E.T.』以外にも、似た系譜で『ショート・サーキット』とか『ターミネーター2』とかドラマ『ナイトライダー』とか『のび太の恐竜』とか、こういう作品は子供の頃たくさん観た気がする。時に悪ふざけが過ぎるマイケル・ベイ監督作とは違い、安心して子供に見せられる一作だ。

●監督:トラヴィス・ナイト ●製作:マイケル・ベイ 他 ●製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ 他
●出演:ヘイリー・スタインフェルド、ジョン・シナ、ジョージ・レンデボーグ Jr.、ジョン・オーティス 他 
●上映時間:114分 ●配給:東和ピクチャーズ

【イントロダクション】
1987年、海辺の田舎町。父親を亡くした悲しみから立ち直れない少女チャーリーは、18歳の誕生日に廃品置き場で廃車寸前の黄色い車を見つける。自宅に乗って帰ったところ、この車が突如変形≪トランスフォーム≫してしまう。驚くチャーリーを前に、逃げ惑う黄色い生命体。お互いに危害を加えないことを理解した瞬間、似た者同士のふたりは急速に距離を縮める。チャーリーは、「バンブルビー(黄色い蜂)」と名付け、友情が芽生えるが──。

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