2010年9月30日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第33回 ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い

第33回「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」

 ハリウッドのコメディ映画は、日本ではあまり当たらない傾向にある。本作「ハングオーバー」は世界中でヒットしたものの、そういう理由もあって当初日本では公開予定が無かった。僕も個人的には、例の「おバカ」的なノリは得意では無いので、それ程期待せずに観始めた。ところが、前半の「記憶を失くした朝」をきっかけに、以降グイグイ引き込まれ、気が付くと完全にこの映画の虜になっていた。

 物語の構成は単純だ。ミステリアスな状況に陥った主人公達が、状況を打破する為にその謎を解いていく。謎で引っ張っていく見せ方は、サスペンス映画では王道だけど、コメディでは珍しいかもしれない。男三人が行方不明になった花婿を探す、という設定も興味深い。こういう場合、大抵探すのは「美女」であったり、「お宝」であったり、マッチョ感を出せそうな対象である事が多い。本作には、そういうガツガツした欲望が無い。彼等は、少なくともアラン以外は、平凡で分別のある常識的な大人なのだ。アランも変わり者ではあるが、周りを食ってしまう程ハチャメチャでは無く、いい具合の変人加減だ。そんな草食的かつ普通の男達が、酔っ払ってとんでもない事をしでかした。だからこそ我々は彼等に自分を重ねられるし、同じような爆発力が自分の中にも眠っているかもしれない、と思う事が出来るのだ。
 記憶を失くした主人公達は、自分達の大暴れが原因で、様々な災難に遭う。物語のほとんどが災難だと言ってもいい。僕は当たり前のように「ハメを外し過ぎるもんじゃないなあ」と同的に観ていた。だが物語が終わり、エンドロールを眺めていると、いつの間にか彼等が羨ましくて仕方がなくなっていた。あんな散々な目に遭っていたのに、全てを肯定的に感じるのだ。
 それは、単純な話この映画が熱い友情物語だからである。全ての災難が、最終的には友情によって浄化される。「ハメを外し過ぎる」も「酷い目に遭う」も、友情を強化する大切なハプニングなのだ。何だか人生全てまでも肯定的に感じ、爽やかな気分で試写場を後にする事が出来た。

監督・製作●トッド・フィリップス 脚本●ジョン・ルーカス&スコット・ムーア 
出演●ブラッドリー・クーパー、エド・ヘルムズ、ザック・ガリフィアナキス、へザー・グラハムほか
上映時間●100分 配給●ワーナー・ブラザース映画

【イントロダクション】
結婚式を2日後に控えた新郎ダグは、独身最後の夜を満喫するため悪友3人とラスベガスへ。高級ホテルのスイートで酒を浴びバカ騒ぎする男たち。しかし翌朝二日酔いから目覚めると、記憶を失い、部屋は滅茶苦茶、花婿の姿は消え、代わりにいたのは一頭のトラと赤ん坊。結婚式は明日。悪友らは、この事態を婚約者に隠し通し、とんでもない証拠品だけを手がかりに、失った記憶と親友を取り戻せるのか!?

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