2018年9月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第127回 レディ・プレイヤー 1

第127回「レディ・プレイヤー 1」

ここ数年のスピルバーグ映画は史実ものが多く、近々のフィクション作品と言えば『B.F.G』という気味の悪い巨人爺がアタフタする自己言及的な怪作で、ハッキリ言って万人にススメられるものではなかった。今作も、一部オタク向けの趣味的な作品になってるのではと若干不安を抱いていたのだけど、それは全くの杞憂だった。本作は、ド直球の王道エンタメで、現代性があり、全世代に向けられている。

今から27年後の未来、誰でもなりたいものになれる場所「オアシス」を舞台に、さえないオタク青年ウェイドが大冒険を繰り広げる。ボーイ・ミーツ・ガールもので、成長もので、友情ありアクションあり謎解きあり、とにかくてんこ盛りだ。
オアシス開発者が、古いゲーム、映画、ポップカルチャー好きのオタクなので、VR世界には日本のキャラも含め懐かしネタが山程出てくる。スピルバーグの大作映画で、『AKIRA』の金田バイクやガンダムが一瞬映るとかではなく、がっつり活躍するのだ。他にもデロリアンやアイアン・ジャイアントやキングコングや…挙げていったらキリがない。ネタ元を知らなくても概ね楽しめるようになっているし、子供の感想とかも聞いてみたい。ただ一箇所だけ、ある有名映画を観てないとわかりにくい展開があるのだけど、重要なネタバレになるのでその作品名を言えないのがもどかしい(申し訳ありません)。
個人的には、2045年になっても80~90年代作品が大量に消費されているという未来観が興味深かった。格差が進んで大衆はVR世界で自己実現するみたいな社会は容易に想像つくけど、文化的に衰退し時代を超える新しいポップアイコンが生まれなくなるというのも、ひとつの暗黒未来としてありえそう。もちろん単にオアシス開発者が懐古趣味なだけとも言えるが、映画やゲームでリメイクや続編が延々と作られている現状を見ていると、割とリアルな感じがする。
物語は激アツ展開の連続で退屈しないし、画面の隅々まで小ネタがあるので是非大スクリーンで観るのをオススメしたい。

●監督:スティーブン・スピルバーグ ●脚本:ザック・ペン ●原作:アーネスト・クライン著「ゲームウォーズ」
●出演:タイ・シェリダン、オリビア・クック、マーク・ライランス、サイモン・ペッグ、T・J・ミラー、ベン・メンデルソーン、森崎ウィン他
●上映時間:2時間20分 ●配給:ワーナー・ブラザース映画

【イントロダクション】
いまから27年後の世界。人類はゴーグル1つですべての夢が実現するVRワールド[オアシス]に生きていた。そこは、誰もがなりたいものになれる場所。無敵のヒーローやハーレークイーン、キティだってなれる夢の世界! ある日、オアシスの天才創設者からの遺言が発表される──「全世界に告ぐ。オアシスに眠る3つの謎を解いた者に全財産56兆円と、この世界のすべてを授けよう」と。突然の宣告に誰もが沸き立ち、56兆円をめぐって、子供から巨大企業まで全世界の壮大な争奪戦が始まった! 果たして想像を超えた戦いの先に、勝利を手にするのは一体誰だ!

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