2010年4月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第27回東のエデン 劇場版?/The King of Eden

第27回「東のエデン 劇場版?/The King of Eden」

この映画は、途中から始まって途中で終わる。その特殊な性質上、一本の映画として語るのは難しいので、テレビ版も含めた感想を書こうと思う。

本作「東のエデン」はテレビ放映時から全部観ている。
「ニート」「ネット住民」「格差社会」といったキーワードが散りばめられていて、「今」をやたら意識した作品だと思う。舞台も、東京がミサイルで攻撃された近未来に設定されていて、ポスト9・11的気分が作品全体を覆っている。
だが個人的な印象を言うと、これらは「今」と言うより、「ちょっと前」だ。100億円という景気のいい数字や、ITベンチャーの輝かしさ、「ノブレス・オブリージュ(貴族の義務)」というスローガン、全て金融危機以前の、ホリエモンとかが活躍してた頃の空気を感じるし、9・11も話題にされなくなって久しい。ポスト「ポスト9・11」が今だと思う。
ただ、作中語られる、勝ち逃げ出来る旧世代VS希望の見えない若者世代というアングル。これは「ロスジェネ」の一人でもある自分にとっては特にだが、完全に「今」の問題だ。非常に身近に感じられる。作品の大きなテーマにもなっているので、「今」を語るにはそれで十分かもしれない。
テレビ版は、敵方のセレソンが、旧世代の支配する日本を一旦ぶっ潰そうとし、失敗した所で終わる。この終盤の展開がやたらスピーディーで、放映時かなり楽しんで観る事が出来た。
映画は、再び記憶をリセットした滝沢が行方不明になってる所から始まる。物語がリスタートされる。色々な事は起こるんだけど、物語全体のうねりとしては鈍重で、「もっとガシガシ展開してくれ!」と急かしたくなる。
?に向けての助走なんだろうけど、これも一本の映画なのだから、もったいぶらずに派手に動いて欲しかった。ミステリアスに登場したNo.6のしょうもない目的とか、ジュイスがセレソン毎にキャラ付けされていっているところとか、細かい点では楽しめる要素が多いので、前半部分だと割り切って観れたら良作だと思う。テレビ版の終盤のテンションのまま、約90分一気に突っ走ってもらえてたら、もしかしたら単体でも傑作になっていたかもしれない、とも思う。

原作・脚本・監督●神山健治 声の出演●木村良平、早見沙織、宮内敦士、江口拓也ほか
上映時間●1時間22分 配給●アスミック・エース

【イントロダクション】
2011年2月19日。60発のミサイルが日本各地を攻撃した。誰にも知られることなくその危機を救った「滝沢朗」は事件後、忽然と姿を消す。彼を見守った森美咲に、ノブレス携帯と「俺はずっと、君と一緒に旅した場所にいます」というメッセージを残して。それから半年後、Mr.OUTSIDEによって選ばれた12人のセレソン達のゲームは、終わっていなかった。再び動き出す彼らの活動履歴とメッセージを頼りに咲は、NYへと旅立った。

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