2018年1月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第119回 ワンダーウーマン

第119回「ワンダーウーマン」

マーベルコミックのヒーローを同一世界観で実写映画化した作品群(MCU)と比べ、DCコミックの実写化シリーズ(DCEU)は辛気臭くてイマイチだ…という世間の評価をついに覆した快作が、本作『ワンダーウーマン』らしい。そんな期待値を上げられて観た本作は、前評判通りの気持ちの良いエンタメ映画だった。

ガル・ガドット演じる主人公ダイアナが、華やかで常に目を引かれる。リアル&シリアスな戦場に「非現実的なアメコミヒーロー姿」で参戦する絵面は、普通に考えると違和感バリバリだし、滑稽になってしまいがちだ。しかし戦うダイアナはひたすら美しくしなやかで、感動的ですらあった。個人的には『キャプテンアメリカ』よりも良い。
それから彼女のキャラ設定。ダークヒーローではないので、暗い復讐心やトラウマを抱えて戦うといった内向きな湿っぽさがない。のどかな島に生まれ、のびのびと育ち、真っ直ぐな正義感と冒険心を持った王女が、大きな使命を胸に外の世界へ旅立つ。最近の映画だと、『モアナと伝説の海』のモアナに近い。女性が強い存在である所やロマンスがメインでない所等、作品全体においてもモアナのように現代的だ。日本版予告では「天然系女子」みたいな宣伝もされているが、あくまで育ってきた社会の違いで起こる価値観のズレをギャグにしているだけで、ダイアナは普通に知的だし勉強家だ。
最終的にルーブル美術館の職員におさまる。これはネタバレではなく、映画はその時点からさかのぼるようにして始まる。社会人ダイアナを見せることで「この作品は女神の戦いを描いた神話ではなく、ある女性の成長譚なのだ」と、冒頭で宣言しているのだ。
ちなみにコメディ部分のダイアナは、かなりキュート。そして幼少期のダイアナも無邪気で滅茶苦茶愛くるしい。そこだけで延々語りたいくらいに。しかし、そういったカワイイ要素を全面に押し出してこないのが、この映画の良い所だったりもするのだ。

●監督:パティ・ジェンキンス
●出演:ガル・ガドット/クリス・パイン/ロビン・ライト/ダニー・ヒューストン/デビッド・シューリス 他
●上映時間:141分 ●配給:配給:ワーナー・ブラザース映画

【イントロダクション】
人間社会から孤立した女性だけの一族のプリンセスとして生まれながら、圧倒的な強さを誇る美女戦士へと育ったダイアナ。好奇心旺盛だが外の世界を一切知らず、男性を見たことすらない世間知らずの彼女の運命は、ある日、浜辺に不時着したパイロットを助けた事によって大きく動き出す――。故郷を離れ、身分を隠し、人間社会で暮らし始めるのだが…。このプリンセスは何に目覚め、その特別なパワーを開花させ、最強の美女戦士ワンダーウーマンとなったのか?

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