2010年2月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第25回 ファイナル・デッドサーキット 3D

第25回「ファイナル・デッドサーキット 3D」

子供の頃、大雨の日に外を眺めながら「このままずーっと雨が降り続いたら、水かさがどんどん上がってきて、電線の辺りまで来て、その瞬間日本中でみんな感電死する」という妄想をし、おののいていた。今考えれば滅茶苦茶だが、当時としては、自分の中にある自然法則に則って理路整然と導き出した、リアリティのある恐怖予測だった。

この映画は、そんな幼い記憶の中にありそうな無茶苦茶な恐怖予測を次々と実現させ、大迫力の映像で見せてくれる。ストーリーは、予知夢で事故を回避した主人公達が、追ってくる「死の運命」から逃げ回る、というおなじみの物。分かっていながらも、「死の運命」が仕掛ける殺害方法は、やはり鮮烈で、恐ろしくて、楽しい。テーブルに置いたスプレー缶が偶然水でスライドして、偶然熱々のヘアアイロンに挟まって…とか、日常的にある物を駆使して、死のフラグをパタンパタン立てていくのは、言うなれば「本当に見たかったピタゴラスイッチ」だ。中には途中でドミノが止まる失敗パターンも出てくる。しかし、その直後「あっ!くそ…えい!」って感じに、手で最後のドミノだけ倒すように殺してしまって、「それでいいのか!?死の運命!!」と思わず突っ込んでしまった。
本作は、R15指定らしい。こんな事言うと怒られそうだが、子供にこそ見せたら良いじゃないか、と思ってしまう。この映画を、ネタっぽく斜に構えて観ずに、本気で恐怖して楽しめるのは、子供だけだ。飽くまで全て事故死で、悪意が人を殺していないのは健全だし、「突然事故に遭うかも知れないから気をつけようね」という教育的効果も十分過ぎるほどある。
ショッキング映像で「軽トラウマ」という財産を得られるのは、子供の頃だけなのに、非常にもったいない。「センター・オブ・ジ・アース」のコラムの時「子供の頃の自分に見せたい」って書いたけど、こっちの方が上かもしれない。
ところで、試写会では2Dだったけど、実際の上映は全て3Dだそうだ。益々、子供が大好きな奴じゃないか。3Dメガネをかけに、再び劇場に行こうと思う。

監督●デヴィッド・R・エリス 脚本●エリック・ブレス
出演●ボビー・カンポ、シャンテル・ヴァンサンテン、ヘイリー・ウェブ、ニック・ザーノ、ミケルティ・ウィリアムソン
上映時間●84分 配給●ギャガ

【イントロダクション】
大学生カップルのニックとローリは、サーキット場でのデートを楽しんでいた。白熱するデッドヒートに興奮する溢れんばかりの観客の中、ニックは突然恐ろしい予知夢を見る。ローリを連れてその場を逃げ出した瞬間、レースカーがクラッシュし、逃げ惑う人々を容赦なくなぎ倒した。運良く命をとりとめた彼らだったが「死の運命」は見逃してくれず、事故で生き残った人々が予知夢の順番どおり怪死を遂げ始める…。

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