2017年8月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第114回 ハードコア

第114回「ハードコア」

最初に予告動画を目にしたのはいつだったか、瞬く間にその新鮮な映像体験のトリコになった。「一人称視点のアクションゲームは映像としてたくさん知っているはずなのに、実写映画で再現するとこうも新しく感じられるのか!」「ゲームが映画を再現しようとしていた時代から、映画がゲームを再現しようとする時代に!」とにかく興奮した。あれからどれだけ待っただろう、ついに日本公開を迎える。
正直な話、予告を繰り返し見ながら「映像としては面白いが、もしこれが同じ調子で延々1時間半続いたらさすがにツライか…?」という一抹の不安が頭をよぎっていた。そして実際本編を見終わった感想を言うと…

「同じ調子で延々1時間半続いているけど、延々面白い!!」
次々と現れるモブのような敵を猛スピードでぶっ殺していく主人公。バイオレンスに次ぐバイオレンス。ドラマや葛藤を排したアクション一辺倒の潔い構成。プロゲーマーの鮮やかなプレイ動画を目撃する気持ち良さ。主人公が喋れない設定であるのと、鏡等で主人公の姿を映さない(厳密には一箇所映る)演出による没入感。それに伴う身体的快楽。諸々の要素がゲーム的だ。
ゲーム的であると同時に、別角度の印象としてユーチューブ的とも感じた。というのも、高い建物に登ったり飛び降りたりする場面は、ネットに上げられた自撮り動画で既視感たっぷりだ。ゲームのような荒唐無稽アクションとユーチューバー的生々しさが、一本の実写映画としてつながっている。そのフレッシュさに大興奮だ。
楽しすぎて始終笑顔で観ていたのだけど、楽しんでるのは僕だけじゃないかと不安になるくらいバランスを欠いた作品でもあったりする。実際海外のレビューでは賛否が別れているらしい。
前情報として、とにかく公式サイト等で予告動画を見て欲しい。その映像が96分続くことにワクワクできる人にはオススメできます。ちなみに自分は画面酔いをするほうなので後方の席で鑑賞しましたが、結構大丈夫でした。

●脚本/監督:イリヤ・ナイシュラー
●出演:シャールト・コプリー/ダニーラ・コズロフスキー/ヘイリー・ベネット/ティム・ロス 他
●上映時間:96分(R15+)
●配給:クロックワークス

【イントロダクション】
見知らぬ研究施設で目を覚ましたヘンリーは、事故により激しく損傷していた。妻のエステルによって機械の腕と脚が取り付けられ、声帯を取り戻す手術に取り掛かろうとした時、謎の組織に襲撃される。施設は破壊され、愛する妻さえ奪われてしまう。ヘンリーは機械のパーツを導入したことで得た超人的身体能力を活用し、妻を組織から奪い返そうと立ち上がる――。

PAGE TOP