2017年6月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第112回 ネオン・デーモン

第112回「ネオン・デーモン」

前々作『ドライヴ』で、フレッシュかつハイセンスかつユニークなすごい映画だと興奮させられ、続く『オンリー・ゴッド』で「むぅ…」と首をひねらされた、一筋縄ではいかない鬼才、ニコラス・ウィンディング・レフン監督の最新作。映画通からはかなり評判が良いらしいが、僕自身はわかりやすい大衆的な作品が好きなので、できるだけ難解でなければいいなと思いつつ観賞。

わかりやすい部分とそうでない部分の差が極端な、不思議な映画だった。
トップモデルになるため田舎からロスへやって来た16歳の美少女ジェシー。厳しいモデル業界で夢をつかもうと日々奮闘していくジェシーの成長物語…としてわかりやすく観られるのが前半部分。幻想的で美しい白昼夢のようなシーンが所々あって、テンポはスローながらも楽しめた。モーテルで寝起きするジェシー、見知らぬ街で不安だらけの一人暮らし、時折『魔女の宅急便』のキキみたいだなと思えるくらいのわかりやすさだ。
中盤以降物語が進むにつれ、どんどん様子がおかしくなり、ホラー映画のようになっていく。ライバル達の異常な嫉妬、ファッション界のグロテスクさ、得体のしれないさ、ジェシーは精神的に追い詰められ、徐々にダークサイドへとハマっていき…。
あまりの衝撃にぽかんとしてしまうようなラストで、試写の帰り道アレは何だったのかとずっと考えさせられた。で、ネタバレにならないように結論だけ書くと、「ファッションモデル界は常に弱肉強食だ!」っていうことを、ずっと言っている映画だったんじゃないかと思った。序盤で突然部屋に山猫(肉食動物)が現れたり、ライバルに手を噛み付かれたり、そういった象徴的な表現を暴走させていく話だと解釈すれば、一部腑に落ちる気がする。他にも、色の使い方とか印象的な三角形とかモチーフが様々で、幾らでも深めて語れそうな意味深な作品だとも思う。後、いつもとキャラの違うキアヌ・リーブスが見られて、そこも良かった。

●監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
●出演:エル・ファニング/キアヌ・リーブス/カール・グルスマン/クリスティーナ・ヘンドリックス/ジェナ・マローン
●上映時間:118分
●配給:ギャガ

【イントロダクション】
誰もが目を奪われる特別な美しさに恵まれた16歳のジェシーは、トップモデルになる夢を叶えるために、田舎町からロスへとやってる。すぐに一流デザイナーやカメラマンの心をとらえるジェシーに、激しい嫉妬を抱くライバルたち。ジェシーに仕事を奪われた彼女たちは、常軌を逸した復讐を仕掛け始める。だが、ジェシーの中に眠る壮大な野心もまた、永遠の美のためなら悪魔に魂も売り渡すファッション業界の邪悪な力に染まっていく。そして今、光と闇を得たジェシーが、ファッション業界のさらなる闇へと踏み込んでいく──。 2017年、衝撃の悪夢が遂に日本にも解き放たれる!

PAGE TOP