施川ユウキ映画コラムー全ての映画は、ながしかく

2016年4月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第98回 007 スペクター

第98回「007 スペクター」

今年はスパイ映画が豊作だ。『M:I5』、『キングスマン』、この先公開を控える『コードネーム U.N.C.L.E.』、スパイ・アクション風の『ワイルドスピード/スカイミッション』もある。そんな中での007最新作。老舗中の老舗とはいえスパイ物は若干食傷気味で、前作までの復習を怠って試写会に臨み、結果激しく後悔することになった。本作は、ダニエル版ボンドの集大成的作品だ。たとえ過去三作を未見でも混乱することはないが、がっつり堪能するためには最低限『スカイフォール』だけでも観ておくことをオススメしたい。
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2016年3月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第97回 グリーン・インフェルノ

第97回「グリーン・インフェルノ」

リア充大学生が未開の地で悲惨な目に遭う、残酷描写満載のスプラッタームービー。鬼才イーライ・ロス監督が食人族モノを撮るという、好きな人には堪らない組み合わせだ。
ジャングルに暮らす部族を開発工事から救おうと活動する学生グループが、その守ろうとした原住民たちに捕われ喰われていくという、情け容赦ないストーリー。学生たちはいわゆる意識高い系と呼ばれるような、いけ好かないタイプだ。近年流行っている「SNSで世界を変えよう」的な行動は実際は大した力を持たず、彼らの自己満足にしかなっていない場合が多いらしい。この映画は、中心的プロットでそういう風潮を皮肉っている。
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2016年2月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第96回 ドローン・オブ・ウォー

第96回「ドローン・オブ・ウォー」

ドローンを運用する現代の戦争を、事実を元に描いた衝撃的な映画。
主人公はラスベガス近郊の空軍基地に勤務する空軍所属のパイロット。空調の効いた小さなコンテナ内で無人機を遠隔操作し、一万キロ離れたアフガンにいるタリバンを空爆している。遥か上空から地上を見下ろすドローンのカメラは、ひとりの標的を神の目のように映し出し、ボタンひとつで天罰を与えるように爆撃する。女性や子供を含む民間人を巻き込んで。やむを得ない犠牲らしい。爆撃後、バラバラになった死体を成果として数える。そして仕事が終わると自宅へ帰り、週末はご近所と家族ぐるみでバーベキューを楽しむ。ちなみに勤務中彼らはパイロットとして飛行服を着用する。ただのコスプレのようだ。
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2016年1月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第95回 ピクセル

第95回「ピクセル」

予告を最初に見た時から「何だこりゃ!?」と、釘付けになった異色過ぎる地球侵略物。80年代の人気ゲームキャラが、ドット絵のニュアンスのまま立体化&巨大化して攻めてくる。試写会の帰り道に「……夢?」と思い返してしまうような、摩訶不思議な映像体験だった。
モチーフになっているビデオゲームだけでなく、作品全体のノリがレトロだ。最近のアクション映画のようにカメラを執拗にぐるぐる回したりしないし、カチャカチャ目まぐるしく切り替えたりもしない。3Dで観ている観客への負担が少ないため、3D苦手な自分にとっては理想的だった。基本的には脳天気なアクションコメディなので、シナリオに急な鬱展開もなく、疲れず楽しめるファミリームービーに仕上がっている。
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2015年12月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第94回 ナイトクローラー

第94回「ナイトクローラー」

建設現場で盗んだ金網を鉄くず屋に売る底辺のこそ泥だった主人公が、事件や事故のスクープ映像を狙うパパラッチに転身する物語。監督は本作で長編監督デビューのダン・ギルロイ。
前評判の高い作品だったけど、実際すさまじい映画だった。主役ルイスを演じたジェイク・ギレンホールの鬼気迫る演技が神がかっている。役作りに12キロ減量したらしく、ガリガリの飢えたハイエナのような姿で、スクープを求め夜の街を走り回る。最初ダメ人間の話かと思ったら全然違っていた。カメラを手にしてからは、向上心むき出しで、欲しいショットのために被害者宅へ不法侵入したり、死体の位置を勝手に動かしたり、モラル無視で突き進んでいく。
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2015年11月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第93回 マッドマックス 怒りのデス・ロード

第93回「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

「マッドマックス」シリーズは、リアルタイム世代ではないので、今回30年ぶりの続編と聞いても、自分は大きな感慨もなく若干冷めた態度だった。
が、結論から言うと、とにかく凄い映画だった。従来からのファンであろうとなかろうと無関係に度肝を抜かれる、滅茶苦茶な映画。果てしない熱量を持った狂気と暴力の宴が、猛スピードで激突してくるような、何を言ってるのか自分でもよくわからなくなるくらい、衝撃的な怪作だった。
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2015年10月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第92回 チャッピー

第92回「チャッピー」

人工知能を搭載した警官ロボットがギャンググループにさらわれてしまう。人工知能がまだ赤ちゃん同然の状態だったことから、ギャングは彼(チャッピー)を育てて犯罪の片棒を担がせようとする。
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2015年9月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第91回 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

第91回「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」

落ち目のハリウッド俳優がブロードウェイの舞台に再起を賭ける、その公演初日までの数日を、他に類を見ないカメラワークと技巧的な編集を駆使し、圧倒的な臨場感で描く。
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2015年8月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第90回 イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 

第90回「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」

第二次大戦下の英国で、ドイツ軍の暗号システム・エニグマを解読した天才数学者アラン・チューリング。コンピューターの父の一人とも呼ばれる彼の悲劇的な人生描く伝記映画。
物語は、晩年と、暗号解読チームで奮闘する戦時中の、二つの時間軸で、交互に展開していく。もう一つ少年時代の話も挿入されていくのだけど、そのエピソードも、彼の人生に大きく影を落とす重大な鍵になっている。
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2015年7月1日 [施川ユウキ映画コラム]

施川ユウキ映画コラム「全ての映画は、ながしかく」第89回 フォックスキャッチャー 

第89回「フォックスキャッチャー」

実話を基にした作品を得意とするベネット・ミラー監督の新作。今作は、デュポン財閥の御曹司ジョン・デュポンがレスリングの金メダリストを射殺したという、実際の事件を映画化した心理ドラマだ。見出し的にはキャッチーで、エンタメ感溢れる退屈させないサスペンスと思いきや、どちらかと言うと、同監督の前々作「カポーティ」に近い、静謐で淡々とした作品に仕上がっていた。「サイコパスの御曹司による殺人事件」という主題と、「オリンピックで金メダルを目指すレスリングチーム」というタフで汗臭そうな題材との組み合わせが新鮮で、「事実は小説よりも奇なり」と思わずにいられない話だった。
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